日時:2025年09月06日 14:00~17:00
会場:田辺市役所 1階 多目的ホール
講師 津屋崎ブランチ/LOCAL&DESIGN株式会社 代表取締役 山口 覚 氏
福岡県福津市津屋崎を拠点に活動している「津屋崎ブランチ」代表の山口覚氏をお招きし、『対話』から新たな価値を創造し、まちづくりに繋げる考え方を学びました。
『対話』とは話し合いには「対話」(dialogue)と「討論」(debate)の異なる方法があります。
対話「私たち」として異なる意見や価値観を融合し、一人では気付けない新たな発見を見出す
討論「私とあなた」に分かれて自分の正しさを論証する
話し合いの場では互いの考えに違いを見つけ、いかに自分の考えが正しいかを論破する「討論」になりがちです。たった一つの正解があるのであれば「討論」で答えが導けるかもしれませんが、価値の多様化や新たな価値創造が求められる現代においては、「対話」が必要です。
対話の場では、知識が多い人や論理的な思考が得意な人だけではなく、喋るのが苦手な人や知識が少ない人でも自由に発言できる環境が重要となります。
新たな価値を創造する『対話』のルール
この7つのルールを心掛けることで、対話の場は一人では考え付かない気づきを得る場になります。
常識を疑う
常識は時代によって変化します。科学的な根拠のないものが裏付けによって覆ることもあれば、科学的根拠があったものが新たな発見で覆ることもあります。マーケティング(広告等)により「当たり前」だと思われていることもあります。新しいアイデアやイノベーションを生み出すには、常識を「そもそも」の視点から再考する「常識を疑う」センスが重要です。
津屋崎での事例から
津屋崎では対話を中心とした地域づくりが進んでいます。「津屋崎ブランチ」では移住支援や古民家再生、担い手育成など多岐にわたる活動が行われており、そのいくつかを紹介していただきました。
未来会議室津屋崎ブランチ内には対話の場「未来会議室」があります。三か条として「未来を語る」「人を褒める」「断定しない」が掲げられ、高校生が講師となる「意味の学校」や、医者が患者に教わる「町医者の学校」など、多くのイベントが開催されています。
プチ起業塾担い手育成の取り組みとして女性を対象に、小規模ビジネスの促進を目指した事業です。一つの仕事に依存せず、複数の収入源を持つ価値観に基づき、これまでに250名以上の修了生を輩出しています。
ゲストハウス「旧糀屋」一階は地域のコミュニティスペースとして利用され、地域住民と観光客が交流する場を提供しています。毎週日曜に開催される「朝ごはん会」、毎月一日に開催される「一日会」、山口さん自らがうどんを提供する「山ちゃん食堂」など、観光客や地域の子どもから高齢者までを巻き込んだ交流・対話が楽しめる場となっています。
「競争」「所有」「依存」から「協力」「共有」「自立」へ都会的な考え方、あるいは高度経済成長時代では
「競争」…同じベクトルの中で優劣を競う「所有」…モノに豊かさを感じる、多くの物を所有する「依存」…便利にしていく、結果のみを求める
経済を拡大させることを大切にし、相対的な価値を大切にする考え方が主流でした地方、そしてこれからの時代に必要とされる
「協力」…一人ではなし得ないことが可能になる「共有」…みんなで喜びを分かち合う、ローコストで同じサービスを分け合える「自立」…別の言い方をすれば「創る」、不便さが自立心を養う
こうした考えの方ではないでしょうか。
経済は「手段」であり、目的は『well-being』にあります。
我々は、便利になることと引き換えに会話・体験・創意工夫・笑顔・充実感といった体験を失っていきました。お金を出して買うという消費的思考の中では、これらのことが生まれにくいものです。
必要以上に便利さが追求された時代だからこそ、その便利さをほんの少し手放すことで、会話・体験・創意工夫・笑顔・充実感といった体験価値を創造することが、地方部の活性化するビジネスの源泉になると考えています。
たなべ未来創造塾では対話が重要になります。今回の講義は「対話」、そして「物事の考え方」について深く考える、貴重な気づきを場になったのではないでしょうか。
1日目
2025.07.26
2日目
2025.08.09
3日目
2025.08.23