1日目

講義:1日目「導入講義」

日時:2026年07月26日  14:00~17:00

会場:田辺市役所1階 多目的ホール

地域課題をビジネスで解決する「たなべ未来創造塾第11期」がスタートしました。

田辺市、みなべ町、上富田町、白浜町、すさみ町の1市4町「田辺市周辺市町村広域圏」から集まった13名の塾生が、来年2月までの約8ヶ月間、様々な講義を通じて、自らのビジネスプランを考え、修了式において発表します。

主催である田辺市と熊本大学研究開発戦略本部地域連携戦略部門、連携・協力機関である金融機関や後援となる商工関係団体の「産学官金」が一体となり、CSVの醸成、ローカルイノベーターの創出を目指します。

第1日目となる今回は、「たなべ未来創造塾」の概要や講義に臨む心構えなどの共有と、熊本大学研究開発戦略本部 客員教授であり、田辺市商工振興課長兼たなべ営業室参事の鍋屋安則氏より、人口減少を起因とした地域課題やその見つけ方、解決に向けた取組みについて、修了生の実践事例を交えながら学びました。初回講義から、各自がこれから取り組むにあたり重要となる視点や考え方、キーワードなどが盛りだくさんの充実した講義となりました。

地域を変える取組みは、必ずしも大きなプロジェクトから始まるわけではありません。身近な困りごとに気づき、自身の仕事でできることを考え、つながり、実践する。その積み重ねが、やがて地域の新しい価値をつくっていきます。

たなべ未来創造塾第11期が本日よりスタートしていきます。地域課題を未来への入口に変える受講生たちの挑戦に、ぜひご注目ください。

次回以降は、当地域内外の講師が登壇されますが、塾生の皆様には「自社の強み、自身の特技は何か」「何をすれば自社が生き残れるか」などを意識して、講義やディスカッションに臨んで欲しいと思います。

■講義「「たなべ未来創造塾」イメージの共有」

田辺市たなべ営業室参事 武田国貴

全国平均に比べて、田辺市は早いスピードで人口減少が進んでいます。その結果、引き起こされる様々な地域課題に対しては、ビジネスの視点で解決に取り組む「CSV」(Creating  Shared Value=共通価値の創造)の考えが重要であること、地域で出来る小さなビジネスが注目される時代へと変遷しています。

これからの講義を通して、塾生のみなさんには国の動向や社会情勢を十分に把握しながら、人口減少から生じる様々な地域課題(子育て、高齢化、後継者不足など)を知り、自身の本業を活かしてどのような地域課題が解決出来るか、どうすれば地域と企業がwin-winの関係になるかなどを全員で考え実践されることを期待しています。

また、今年度から「たなべ未来創造塾OBOG会Hatch!」による協力体制も整ってくる予定ですので、事務局、OBOG含め全員で盛り上げていければと思います。

■導入講義 ローカルイノベーター たちが地域を救う!-地域人材を起点とした地方創生へ-

熊本大学研究開発戦略本部客員教授/田辺市商工振興課長・たなべ営業室参事 鍋屋安則

2016年にたなべ未来創造塾を立ち上げ、熊本大学への出航を経て現在は、熊本大学、田辺市(商工振興課、たなべ営業室)の業務を行う公務員の新しい働き方を実践中。

導入講義での重要なポイントは2点

・地域課題が新たな価値を生み出す。
・「共創の場」が化学反応を引き起こす

<前半>
人口減少の背景として、出生率の低下による自然減と、進学や就職を機に若者が地域外へ出ていく社会減があります。人口が減ることで、生活サービスの縮小、空き家や耕作放棄地の増加、町内会や消防団など地域組織の担い手不足、学校の統廃合など、さまざまな課題が連鎖していきます。これらの地域を取り巻く課題は、一見すると重たく、解決の難しいものに見えます。しかし、見方を変えれば、それらは新しい価値を生み出す入口にもなります。


■産業に関する事例(一部抜粋)
①鳥獣害対策から、命を生かすジビエ事業へ(1期生 ㈱日向屋 岡本和宜)

農作物を荒らす鳥獣害は、農家にとって深刻な課題です。岡本氏は、被害を防ぐために命を奪うことに疑問を抱き、捕獲した鳥獣を無駄にしないため、仲間とともにチーム結成し、ジビエの食肉加工に取組みました。その他、ジビエ体験ツアーや農業研修生を活用した農作業受託、6次産業化などの多様取組みが認められ、農林水産大臣賞などを受賞。

地域の食材を生かした、循環型レストランの挑戦(4期生 Restaurant Caravansarai更井亮介)

岡本氏と同郷である更井氏。ジビエの試食会から、岡本氏の取組みに魅せられ、当時勤務していた一流レストラン退職して帰郷。未来塾を経てジビエを提供するフレンチ店として独立。そこでは、決して多い量ではないですが、レストランから出る食べ残し、廃棄物を肥料にして畑に戻す循環型の取組みを実施。それがきっかけとなり、ミシュラングリーンスターを獲得。

さらに、大量に廃棄される梅の種を活用した梅仁豆腐を開発するなど、この姿を見た地元高校生が「カッコイイ」とレストランに就職。その活躍する場として、新たな店舗を出店するなど新たな取組が止まりません。

いずれの事例も、身近な困りごとに向き合い、自身の本業の強みと掛け合わせることで、地域にも企業にもよい循環、新しい価値を生み出しています。

最初から大きな事業をしようとしたのではなく、自身の仕事、地域、周囲の身近な困りごとに目を向け、小さく動き出したことでした。この小さな一歩が、人とのつながりによって広がり、やがて新しい商品、雇用、交流、地域循環へと育っていきます。

<後半>
人口減少や少子高齢化が進むなかで、地域には「子育ての不安」「買い物の不便さ」「高齢者の居場所づくり」「若者が帰ってきたいと思える仕事づくり」など、暮らしに身近な課題が生まれています。一見すると難しい問題に見えますが、たなべ未来創造塾修了生は、こうした課題を自身のビジネスや地域のつながりによって解決しようとする動きが、少しずつ形になっています。

■子育て、高齢化に関する事例(一部抜粋)
①子育て中の親子が気軽に集えるイタリアン(5期生 andaiamo 土井隆司)

大阪で経験を積んだ後、家族とともにUターン。飲食店としておいしい料理を提供することはもちろん大切ですが、人口が減っていく時代には、料理以外の価値も必要になるのではないか。そんな問題意識から、子育て中の母親が安心して訪れ、子どもと一緒に過ごせるイタリアンを開業。店舗のそばには公園があり、子どもたちは遊び、親はゆっくり食事を楽しむことができるような、単なる飲食店ではなく、家でも職場でもない、親子にとっての「サードプレイス」を目指しています。

②マルシェから広がる、働く母親の応援(5期 ㈱onlyonebenefit 小山葵)

子育て世代を応援する取組みは、別の形でも広がっています。ファイナンシャルプランナーとして活動する小山氏は、子育て中の女性が働きやすい環境をつくることが、地域にとっても自身の事業にとっても大切だと考えました。

その一歩として企画されたのが、親子で楽しめるマルシェです。会場は上記イタリアンのすぐそばの公園です。企画には未来塾のつながりを通じ多くの出店者が集まり、親子連れで賑わいました。子ども向けのお金の学びの場も設けられ、子ども自身が販売体験をすることで、学びと地域交流が一体となった機会にもなりました。

さらに、セミナーに参加する母親が子どもの泣き声を気にして謝らなければならない現状に疑問を持ち、気軽に子どもを預けられる場づくりにも挑戦しています。

学びたい、働きたい、地域とつながりたい。そんな思いを持つ母親を支える仕組みが、少しずつ地域に根を張り始めています。

「コミュニティが武器になる」

商品やサービスを提供するだけでなく、人が集まり、つながり、安心して過ごせる場所をつくること。その積み重ねが、地域にとっても企業にとっても新しい価値になっていきます。

人口減少や少子高齢化が進むなかで、行政の財源や人員にも限りがあり、公助だけですべての課題を解決することは難しくなっていきます。そこで重要になるのが共助です。共助とは、地域の人や企業、団体が互いに支え合い、暮らしの中の困りごとを少しずつ補い合うこと。近所同士の助け合いだけでなく、民間事業者が本業を生かして地域の支え合いに関わることがこれからの共助の形です。行政の制度だけでは埋めきれない暮らしの隙間を、民間の柔らかい発想や小さな事業が埋めていく。そこに人が集まりコミュニティが生まれ、結果として企業の価値や信頼にもつながり、ビジネスとしても地域の価値としても育っていきます。

■グループワーク

■塾生自己紹介

今回参加した11期生は、造園、歯科、自動車学校、梅加工、林業、清掃、教育、農業、食品、アウトドア用品販売など、多様な分野から集まりました。

それぞれが、自社や業界の課題、地域への思い、これから挑戦したいことを語り、互いの可能性に耳を傾けました。

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