日時:2026年09月05日 14:00~17:00
会場:田辺市役所1階 多目的ホール
真砂市長を講師に迎え、これからの田辺市の新たなまちづくりについての講義をいただく中で、どこにビジネスチャンスがあるのかを探りました。
また、ケーススタディでは、来年度より開始予定となっている「ふるさと住民登録制度」でモデル事業として選定されている田辺市において、チャンスとなり得る関係人口を活かした事業に取り組まれている修了生から講義をいただきました。
講師 田辺市長 真砂充敏
田辺市まちづくりの変遷
田辺市は2005年(平成17年)5月に合併し、その後10年間にわたり市町村建設計画に基づく市政運営を行ってきました。最初の10年間は、新田辺市の基礎づくりの期間であり、合併10周年の節目に新たなまちづくりに向けた転換期と捉え、田辺市の新たな価値を創造するために、2016年(平成26年)4月に「たなべ営業室」を設置し、2018年(平成28年)からは地域課題をビジネスの手法で解決する人材を育成する「たなべ未来創造塾」がスタートしました。
そして、合併20周年を経て、来年度からは第三次田辺市総合計画が始まり、田辺らしいウェルビーイングをまちづくりに位置付けていくことが大きなテーマとなっています。
人口減少をどう捉えるか
田辺市の人口は、合併時の約8万5千人から現在は約6万5千人へと減少し、田辺市では全国平均より少し早いペースで減っており、年間およそ1千人のペースで減っています。
人口減少対策には大きく二つの方向があり、一つは、社会減と自然減にアプローチすること。つまり、若者や住民の流出を減らし、移住・UIJターンを増やし、出生数を支える施策に取り組むことです。もう一つは、人口が減少する中でも、一人ひとりの生産性や地域の価値を高め、豊かに暮らし続けられる地域をつくることです。
人口減少は単にマイナスではなく、見方を変えれば新たな可能性を生み出すきっかけにもなります。
地域課題を直視し、その解決をビジネスモデルにしていくことこそ、これからのまちづくりと企業の接点になります。
地域課題の中にあるビジネスチャンス
・小規模多機能自治と地域コミュニティ
人口が減ると、町内会や公民館活動の担い手が少なくなり、地域の防災、防犯、子育て、高齢者の見守りといったコミュニティ力、地域力も弱まりやすくなります。
田辺市では、新庄エリアや上芳養エリアで、小規模多機能自治という地域の規模に応じて多様な機能を担う自治の仕組みづくりを模索しています。補助金に頼るだけでなく、ビジネスモデルを町内会や地域活動の中に取り入れ、小さな収益ややりがいを生み出す仕組みにできないかなどが今後の重要な検討課題です。
・空き家・未利用公共施設の活用
人口減少に伴い、学校をはじめとする公共施設や空き家など、利用されなくなる資産が増えていきます。これらをどう活用し、民間の力と結び付けて新たな価値を生み出すかは、行政だけでなく事業者にとっても重要なテーマです。制度上の課題はあるものの、未利用資産の活用は今後のまちづくりにおける大きな可能性を持っています。
・society5.0とAI時代の地域価値
AIやデジタル技術の進展により、働き方、住まい方、学び方は大きく変わってきています。デジタルノマドや多地域居住のように、場所に縛られずに働き暮らす人も増えています。一方で、AIが進むほど、田植えや自然体験のような人間らしい感動やアナログな体験の価値も高まるのではないでしょうか。
先端技術を活用して生産性を高めることと、人間らしさや変わらないものの価値を大切にすること。また、林業や農業、観光、医療、教育など、AIだけでは代替できない分野にも、ビジネスチャンスがあるかもしれません。
・関係人口と二地域居住の可能性
今後は、関係人口と定住人口の間に位置する二地域居住がさらに重要になります。国では、ふるさと住民登録制度の開始が予定されており、関係人口を見える化し、地域への関わりを制度的に支える動きが進んでいます。田辺市でも、ベーシック登録、プレミアム登録、さらに独自の「プレミアムプラス」のような仕組みを検討し、地域活動への参加や滞在を促すメニューづくりが進められています。
二地域居住が広がることで、移動、滞在、仕事、教育、子育て、地域活動などに新たな需要が生まれます。住民票の有無だけで地域との関係を判断するのではなく、地域に関わり、担い手として活動する人をどう受け入れ、支えるかが、今後の大きな課題となります。
・森林、観光、広域連携をめぐる課題
市域の約9割を森林が占める田辺市にとって、森づくりは重要なテーマです。森林はCO2の吸収、生物多様性の保全、保水力による災害防止など、多面的な機能を持っています。獣害や土砂災害といった課題も、森林のあり方と深く関わっています。森林環境譲与税の活用やAIでできない仕事に先端技術を取り入れ生産性を向上させるなど、森を守りながら地域の仕事をつくる視点が求められます。
観光では、コロナ禍の経験から、インバウンドだけに頼らない持続可能な観光地づくりの必要性や様々な分野において、田辺市だけで完結するのではなく、白浜町、上富田町、みなべ町、すさみ町など周辺自治体と連携し、広域で課題解決と魅力発信を進めることも重要となります。
・行政と企業が共に解決する時代へ
行政も住民サービスを提供する「サービス業」である一方、民間企業のように採算だけで判断することが難しい業種であり、ごみ処理や救急など、住民負担を抑えながら不採算な公共サービスを担うのが行政の役割です。しかし、物価高騰や人件費の上昇が続く中で、行政だけで地域課題を解決することはますます難しくなっています。
だからこそ、企業の判断力や行動力、行政の公共性や課題把握力を組み合わせる官民との連携が欠かせません。田辺市熊野ツーリズムビューローのように、行政と民間が協力して地域の価値を高めてきた事例は、今後の課題解決型ビジネスのヒントになるのではないでしょうか。
・たなべ未来創造塾とHatchの広がり
たなべ来創造塾は、地域課題をビジネスモデルで解決する人材を育てる場として始まり、10年を迎えました。現在では、日本商工会議所青年部との連携も進み全国13カ所に広がっています。
また、たなべ未来創造塾のOBOG会組織として「Hatch」が立ち上がりました。塾を修了した人たちが、自主的に集まり、さらに地域を盛り上げようとしていることは、大変心強い動きです。
卵がかえるように新しい挑戦が生まれる場として、塾生同士のつながりをさらに深め、行政も外側から後押しする役割を担っていきます。起業や新しい挑戦を志す皆さんの思いと、行政の支援がうまく重なったとき、地域に新たな価値が生まれるのではないでしょうか。市としても、情報提供や伴走支援を通じて、皆さんの挑戦を後押ししていきたいと考えています。
誰もが住み続けられるまちを目指して
これからの田辺市が目指すのは、単に人口の数だけを追うまちづくりではありません。住んでよかったと思えること、心身ともに良好で、社会的にもつながりを持って暮らせること。そうした田辺らしいウェルビーイングを実現するためには、「自分がしたいこと」「自分ができること」「社会に必要とされていること」の重なりを見つけることが大切です。
人口減少、地域コミュニティ、空き家、森林、観光、教育、二地域居住。これらはすべて、田辺市が抱える課題であると同時に、新しい挑戦の入口でもあります。行政、地域、企業、そして田辺に関わる多様な人々が力を合わせることで、課題はビジネスチャンスとなり、次の田辺市のまちづくりにつながっていきます。
これまで、そしてこれからの田辺市のまちづくりについて講義をいただき、その後の質疑では、時間の許す限り市長は塾生と対話を行いました。講義、対話の中から田辺市の取組や今後のビジネスチャンスのきっかけとなり得る取り巻く環境、知識等を深めることができた講義になりました。
講師 (株)TODAY 山田かな子 氏(7期生)
関係人口を“目的”にしない。地域に何を残すのかを考える
地域の外から人を呼び込み、地域の事業者や個人事業主の挑戦を後押しする。その「間」を取り持つコーディネートを仕事にしている山田さんは、上富田町出身。東京や福島での生活を経て、4年前に和歌山へUターンし、2022年7月に株式会社TODAYを創業しました。その直後、たなべ未来創造塾7期に参加したことが、現在の事業の原点の一つになっています。
当時、山田さんが強く感じていたのは、和歌山の地域に大学生がほとんどいないことへの違和感でした。地域には面白い事業者があり、挑戦の機会も多くある。それにも関わらず、そこに関わる大学生が少ない。だからこそ、自身が得意としてきた実践型インターンシップのコーディネートを和歌山で広げ、地域の事業者の力をさらに引き出す仕組みにしたいと考え、単に大学生を送り込むだけではなく、地域の困りごとを解決する「地域の人事部」のような存在になることを目指しました。
その後の4年間で、実践型インターンシップに加え、高校生の職業体験、大学と地域をつなぐ域学連携、外部人材を活用した事業づくり、採用支援など、地域や企業の目的に応じて事業を分けながら展開。現在は「若者が出ていきやすく、居やすく、入ってきやすい和歌山をつくる」というビジョンのもと、複数の事業を通じて地域と外部人材をつないでいます。
関係人口は、目的ではなく結果である
最も伝えたかったことは「関係人口を目的にしない」ということ。近年、地域づくりの文脈では関係人口という言葉がよく使われており、観光でも移住でもない形で地域に関わる人たちを指し、商品を買う、何度も訪れる、応援する、情報を発信するなど、その関わり方は多様です。関わり方に優劣はありません。
一方で、関係人口を「人数」でだけ捉えてしまうと、本当に地域に何が残ったのかが見えにくくなります。参加者数、イベント回数、LINEグループの登録者数、SNSのフォロワー数など、数えやすい指標はたくさんあります。しかし、外部から人に来てもらうためには、事業費、広報費、交通費や宿泊費、コーディネートにかかる時間、地域の受け入れ対応など、多くの資源が必要です。人数を増やすことだけを目的にすると、地域の人・時間・お金を消費するだけになりかねないのです。
だからこそ大切なのは、「関係人口を増やしたい」から始めるのではなく、「自分たちは地域で何を実現したいのか」から考えることです。地域の中だけでできることなのか、外部の力が必要なのか。必要だとすれば、人手なのか、専門性なのか、伴走してくれる仲間なのか。その人物像を具体化し、その人が関わりたくなるプロジェクトを設計し、実践を通じて成果を生み出す。こうした流れがあって初めて、結果として関係性が続いてくものではないかと考えています。
目的によって、出会うべき人は変わる
外部人材と一口に言っても、地域側の目的によって出会うべき人は変わります。観光してほしい、商品を買ってほしい、地域のファンやサポーターを増やしたい、SNSなどで魅力を発信してほしいという目的であれば、出会うべき相手は観光客、顧客、ファン、発信者です。
一方で、一緒に事業をつくってほしい、仕事をしてほしい、将来的に働いてほしいという目的であれば、出会うべき相手はプロジェクトメンバー、副業・プロ人材、採用候補者になります。同じ地域に来てもらうとしても、ワーケーションで訪れる人に地域課題への関与を期待するのか、課題解決型のプロジェクトに参加する人を募るのかでは、設計も声のかけ方もまったく異なります。
出会い方と出会うタイミングが重要になるのです。たとえば、ワーケーションで訪れた人の目的は、仕事をしながらチームの関係性を高めることです。その場で地域課題について話しても、必ずしも深い関心にはつながりません。しかし、別の機会に「この課題に一緒に取り組みませんか」と具体的なプロジェクトとして提示すれば、再び地域を訪れる理由になります。目的に合った出会いを設計することが、関係人口づくりの鍵になります。
「TANABEES(タナビーズ)」が生み出した、地域に残る成果
田辺市で実施されている関係人口創出事業「TANABEES」では、たなべ未来創造塾の修了生を中心とした地域プレイヤーの取り組みに、外部人材をプロジェクトメンバーとしてマッチングしています。目的は「田辺に来たい人」を集めることではありません。「この人と、このプロジェクトを一緒にやりたい」と思う人をつなぎ、地域プレイヤーが本当に進めたいことを前に動かすことです。
<例>一般社団法人Gifted Creative
「利益の出る教育事業を一緒につくる人」を募集。そこでマッチングした多田さんは、大企業の経営企画部に勤めながら、教育系NPOの理事も務める人材でした。半年間、月1〜2回のミーティングを重ねながら新規事業を検討した結果、多田さんはGifted Creativeの理事となり、AIに関する事業化を進める役割を担うようになりました。単に外部から一人が来たのではなく、組織の一員として収益を生む事業をつくる動きが生まれたのです。
<例>尖農園
農園主が未来創造塾や農業経営塾を通じて多くのアイデアを持ちながらも、日々の農園管理に追われ、なかなか実行に移せない状況がありました。そこに4名の外部人材がマッチングし、半年ほど議論を重ねる中で、まずは農業で安定収入をつくることに焦点を当てました。その結果、オーナー制度がスタートし、TANABESの参加者だけでなく、その友人や知人、上司などへと輪が広がっていきました。ここでも成果は「何人来たか」ではなく、地域の中に新しい事業の芽が生まれたことにあります。
見るべき指標は、人数ではなく変化
関係人口創出の成果は、人数だけでは測れません。少なくとも次のような変化を見ることが重要だと考えています。
こうした価値は、単純な数字では見えにくいものです。人数ではなく、地域に起きた具体的な変化を丁寧に見ていくことが、これからの関係人口創出には求められているのではないでしょうか。
実現したいことから、関係は始まる
大学生や外部人材は、地域の可能性に触れ、地域プレイヤーの思いに応えようと関わってくれます。だからこそ、地域側に必要なのは「誰かに来てほしい」という漠然とした期待ではなく、「自分たちは何を実現したいのか」を磨き続けることです。
その実現のために、自分たちの力を尽くすし、足りない力があるなら、どんな人と出会い、何を一緒にできるのかを考える。そして、その人が関わることで地域に何が残るのかまで設計する。そうしたプロジェクトからこそ、良い関係性が生まれ、関係人口は自然と育っていきます。
関係人口は、増やすことそのものが目的ではありません。地域の中に新しい挑戦が生まれ、人が育ち、事業が前に進む。その結果として、また来たい、関わり続けたいと思う人が増えていく。
これからの地域と外部人材の関係づくりにおいては、「数」ではなく「何を残すか」を問い続けることが重要なのではないでしょうか。
山里舎 金哲弘(てっちゃん)氏(7期生)
小さな田んぼから、熊野の未来を耕す
「てっちゃん」の愛称で親しまれている7期修了生の金さんは、山里舎という屋号で活動しながら、本宮町で「大斎原の景観を守るプロジェクト」に取り組んでいます。このプロジェクトは、未来創造塾での学びをきっかけに生まれたビジネスプランです。田んぼを入口に、人と地域をつなぎ、熊野の価値を次の世代へ手渡していくという思いが込められています。
もともと中学校の教員として17年間子どもたちと向き合ってきました。思春期の子どもたちが抱えるモヤモヤや社会への不信感、大人への反発。その背景を考え続ける中で、「子どものしんどさは、大人の生きづらさや社会への信頼感の薄さから流れてきているのではないか」と感じるようになりました。
水が高いところから低いところへ流れるように、心のしわ寄せもまた、大人から子どもへ、強い立場から弱い立場へと流れていく。だからこそ、子どもだけに向き合うのではなく、大人の心に余白をつくる仕事がしたい。活動の根底には、「大人の心の余白を伸ばすことが、子どもたちの未来や社会の豊かさにつながる」という思いがあります。
本宮で出会った、種を植える感動
大阪で生まれ育ち本宮町に移り住んだのは12年前のこと。そこで強く心を動かされたのが、種を土に植えると芽が出て、茎が伸び、葉がつき、花が咲き、実がなるという、ごく当たり前の自然の営みでした。
小学校1年生でも知っているようなことでも、自分の手で体感すると大きな感動になる。小さな種の中に、茎や葉、花、実、そして次の種につながる命の循環がすべて詰まっていて、まさに「宇宙のようだ」と感じ、この感動を多くの人に届けたいと考えるようになりました。
仕事のコンセプトとして掲げているのは「アソビを届ける」こと。ここでいうアソビは、単なるレクリエーションだけではありません。たとえば車や自転車のブレーキには、効き始めるまでのわずかな余白があります。この「アソビ」が多すぎても少なすぎても危険であるように、人の心にも適度な余白が必要です。
田んぼに入って泥だらけになり、汗をかき、そのあと川に入る。知識として知っていた「冷たい」「気持ちいい」という感覚を、身体で味わう。そうした体験を通じて、人の心が少しずつゆるんでいく。そんな余白やアソビを大人にも子どもにも届けたいと考えています。
未来創造塾で見つけた身近な課題
本宮町で米づくりを始めたきっかけは、近所の人から「ここで田んぼをやってみないか」と声をかけられたことでした。当時、地域では14人ほどが田んぼを耕していましたが、10年ほどでその人数は半分に減少。このままでは10年後には作り手がいなくなってしまうかもしれない。そうした危機感が芽生えました。
未来創造塾に参加した当初、課題として捉えていたのは、「田辺と本宮の距離」でした。物理的な距離だけでなく、心の距離も遠いと感じていたからです。しかし未来創造塾で、自分の身近な課題の中にビジネスチャンスがあるという学びに触れたとき、改めて地域を見つめ直しました。そして見えてきたのが、田んぼの作り手が減っているという現実でした。
そこから「大斎原の景観を守るプロジェクト」は形になっていきました。イベントとして田植えや稲刈りを行うだけではなく、企業に田んぼを1枚借り上げてもらう「企業の田んぼ」という仕組みも考案しました。大阪の企業や同期のつながりから参加した企業など、少しずつ協力の輪が広がっています。
田んぼがつなぐ関係人口
田植えや稲刈りのイベントには、年々参加者が増えています。自分が植えたものが育ち、食べ物になる。その経験は多くの人の心に残り、「また稲刈りに来る」「来年も来る」と継続的な関係を生んでいます。
田辺市の関係人口創出事業「熊野REBORN PROJECT」では、登山アプリのユーザーが熊野古道を歩き、その最終地点である大斎原周辺の景観を守る活動に参加するという流れが生まれました。参加者の再訪率は非常に高く、熊野との継続的な関わりにつながっています。
さらに、大学のフィールドワークや社会福祉法人のリトリート研修など、観光や農業、学び、福祉と結びついた受け入れも広がっています。田んぼは、毎日の食につながる身近な存在でありながら、熊野の自然や人、文化に触れる入口にもなります。
収益化という大きな課題
活動が広がり、人が集まり、関係が生まれている一方で、現在大きな課題として感じているのが収益化です。企業が田んぼを借り上げ、イベント参加者も増えているものの、それだけで暮らしを支えるだけの収益を生み出すことは簡単ではありません。
だからこそ、これから事業を考える人には、思いや活動の魅力だけでなく、継続していくためのお金の仕組みまで見据えてほしいのです。情熱だけでは続けられない。地域の価値を守り、次につなげていくためには、収益を生み出す設計と仲間づくりが欠かせません。
今後、構想しているのは、本宮にある廃校を活用した拠点づくりです。熊野古道を訪れる人やキャンプ客とは少し異なる、関係人口、大学生のフィールドワーク、企業研修などを受け入れる場所として、地域の人たちと外から来る人たちが一緒に関わり合える場をつくりたいと考えています。
そこでは、本宮町の伝統茶をつくる仲間や、川遊び、山の体験、紀州備長炭に関わる人たちなど、地域に根ざした多様な活動とつながることができます。つらいことがあったときに「本宮に帰ろう」と思えるような、もう一つのふるさとをつくること。それも目指す未来の一つです。
小さな課題が、大きな一歩になる
「まずは自分たちの周りにある小さな課題に気づいてほしい」。地域には、担い手が減った田んぼだけでなく、続けていきたい祭りや盆踊り、先人たちの知恵、昔ながらの暮らしの技術など、次の世代へ受け継ぎたいものがたくさんあります。
未来創造塾で身についたアンテナや、そこで広がった人との関係は、大きな財産になります。日々の小さな一歩が、誰かとの出会いやつながりを通じて、大きな流れに変わっていくかもしれません。
関係人口を活かした事業に取組まれている修了生の事例から、関係人口の数にとらわれず受入側、地域側が目的を持つこと、そして、身近な課題に目を向け、小さくても一歩動くことの大切さなど、これからの自身の取組みにも繋がり得る講義になったのではないでしょうか。
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