2日目

講義「対話と創造から生み出す新たな価値」

日時:2024年08月03日  13:00~17:30

会場:田辺市役所 1F 多目的ホール

第2日目は、「たなべ未来創造塾」の概要や講義に臨む心構えなどの共有と、福岡県福津市津屋崎を拠点に活動している「津屋崎ブランチ」代表の山口覚氏を招き、「対話と創造から生み出す新たな価値」をテーマに、先進地である津屋崎の事例や、対話から新たな価値を創造し、まちづくりに繋げる考え方を学びました。

■導入講義「たなべ未来創造塾」イメージの共有

田辺市たなべ営業室 石野善之

本格的な講義に入る前のオリエンテーションとして、「たなべ未来創造塾」の概要や考え方について共有しました。

全国平均に比べて、田辺市は早いスピードで人口減少が進んでいます。その結果、引き起こされる様々な地域課題に対しては、ビジネスの視点で解決に取り組む「CSV」(Creating  Shared Value=共通価値の創造)の考えが重要で、地域で出来る小さなビジネスが注目されています。

これからの講義を通して、塾生のみなさんには国の動向や社会情勢を十分に把握しながら、人口減少から生じる様々な地域課題(子育て、高齢化、後継者不足など)を知り、自身の本業を活かしてどのような地域課題が解決出来るかを考え、解決に向けた取組を見つけてくれること期待しています。

そして、未来創造塾では、市内外の講師やこれまでの修了生から学ぶに当たり、

・何をすれば自社が生き残れるか
・自社の強み、自身の特技は何か
・自社のある地域のことを知る

これを常に意識して、講義やディスカッションに臨んでいただきたいと思います。

■講義 「対話と創造のまちづくり」 ~津屋崎ブランチの取組を通して~

講師 津屋崎ブランチ/LOCAL&DESIGN株式会社代表取締役 山口 覚 氏

対話と討論

両方話し合いですが、対話とは「みんなで本質を探求すること」、討論は「どちらが正しいか決めること」と、それぞれ目的とするところが違います。しかし、話し合いの場では、互いの考えに違いを見つけ、いかに自分の考えが正しいかを論破する「討論」になりがちです。たった一つの正解があるのであれば「討論」で答えが導けるのかもしれません、しかし、新しい発見、新しい価値の創造を求めるのであれば、互いの違いを受入れ、多くの選択肢から答えをもとめる「対話」が必要になるはずです。

『対話』とは

新たな価値を創造する『対話』には、

・私たちと思う
・耳を澄ませて聴く
・否定も断定もしない
・答えは一つと思わない
・沈黙を歓迎する
・アイデアをつなげる
・心の変容を自分にも相手にも許す

この7つを心掛けて、一人では考え付かない気づき得ることが必要です。
本来、一つの物事に対する感じ方、考え方は個人個人によって千差万別です。

この違いに価値があります。

その違いを受入れ、自身の考え方や常識を疑うという発想(発明家的発想)をしていくことで、新しい学び、新しい価値の創造に繋げていくことが出来ます。

「競争」「所有」「依存」から「協力」「共有」「自立」へ

これまでの社会では

「競争」…同じベクトルの中で優劣を競うこと
「所有」…モノに豊かさを感じること
「依存」…別の言い方をすれば「便利」「消費者」
経済を拡大させることを大切にし、相対的な価値を大切にする考え方が主流でした。

しかしこれからは

「協力」…一人ではなし得ないことが可能になる
「共有」…みんなで使うことで喜びを分かち合う
「自立」…別の言い方をすれば「創る」

こうした考えの方をすることで、お互いに関係性を構築し、みんなが消費者ではなく当事者になります。そして、経済は「手段」として必要ですが、「目的」は、あくまで一人ひとりの『well being』です。

我々は、便利になることと引き換えに創意工夫や体験といったものを失っていきました。お金を出して買うという消費的思考の中では、創意工夫が生まれにくいものです。

必要以上に便利さが追求された時代だからこそ、その便利さをほんの少し手放すことで、これまで感じることのなかった大きな価値を得ることができ、こうしたことにお金を払う時代になるのではないでしょうか。

■グループディスカッション