14日目

修了式

日時:2025年02月15日  14:00~17:00

会場:和歌山県立情報交流センター Big・U

たなべ未来創造塾<第9期>修了式は、熊本大学、近畿財務局和歌山財務事務所、金融機関、後援機関、講師陣、神島高校、たなべ未来創造塾修了生など、多くの皆様方にご参加をいただく中で、盛大に開催することができました。9期生一人ひとりの精進は勿論ですが、熊本大学をはじめ関係機関の皆様や、応援をしてくださっている多くの方々の支援があればこその修了式であったと、心より感謝申し上げます。

9期生13名は、約半年間の学びの集大成として、それぞれが作り上げたビジネスプランを発表する晴れの舞台を迎えました。堂々とした、素晴らしい発表でした。9期生の皆さん、本当にお疲れ様でした。

また、神島高校「神島塾」からも、ビジネスプラン「梅やきとりでLet’s防災」を発表していただきました。

神島高校では、「地域に関わる」をコンセプトに商品開発やイベント企画などに取り組む「神島屋」の活動や、たなべ未来創造塾修了生が講師として関わる「神島塾」を開催される等、地域のことを学びながら、高校生ならではの視点から地域課題解決に繋がる取組を研究しています。そうした活動の中から、ビジネスプランを作り上げ、日本政策金融公庫が主催する全国の高校生を対象としたビジネスプラン・グランプリに9年連続で参加し、今年度は学校賞を受賞しています。

田辺市では、大学進学などで地域を離れる「社会減」が人口減少の大きな要因となっていますが、地域を知り、関わる中、地域で活躍する大人たちと触れ合うことが、一度は地域を離れたとしても将来的に地域に戻りたいと思う若者の増加につながるとされています。

たなべ未来創造塾の修了生が関わった若者が将来、地域に戻り、新たな地域の担い手となる。同じステージで、たなべ未来創造塾の塾生と高校生たちが、それぞれの地域課題解決に向けたプランを発表する姿は、そんな未来を想像させてくれました。

 

それぞれが、自分に解決できる地域課題を見つけ、自分の問題として考え、解決に向けて行動する。そんな「カッコいい大人」たちを、これからも暖かく見守っていただけるようお願いいたします。

■主催者挨拶

田辺市長 真砂充敏(たなべ未来創造塾長)

平成28年度からスタートしましたたなべ未来創造塾は、地域の課題をビジネスで解決するという人材の育成と、ビジネスモデル創出を目指した事業として、これまで8期95名の修了生を輩出してまいりました。そして、その約7割がビジネスプランを実行しているとともに、互いに連携しながら、新たな価値を生み出しています。

本日、9期13名の修了を迎え、待望の100名を超え、108名の修了生を輩出する事となります。

修了生の皆さんにつきましては、当市の関係人口創出の取組にも関わっていただき、こういった「田辺市版地方創生」が、市内外からの評価をいただき、これまでシティプロモーションアワードの受賞や、SDGs未来都市の認定及び自治体SDGsモデル事業への採択へと繋がってまいりました。

そして、高校生との連携も深まっており、市内の神島高校と未来創造塾修了生との連携で実施される「神島塾」では、高校生の視点から、地域課題をビジネスの視点から解決していくビジネスプラン創出取り組まれております。また、田辺高校でも、総合学習の中で地域課題を学び、高校生としてどのような解決策があるかの研究を進める等、「田辺市版地方創生」の深化についても感じるところであります。

更に、熊本大学を中心に、熊本県では八代市、天草市、玉名市、阿蘇地域、菊池市、山鹿市、または富山県の南砺市、石川県の小松市においても姉妹塾が展開され、未来創造塾の組長懇談会、そして、姉妹塾合同講義の開催と、自治体の枠を超えて互いに連携、協力し合う体制が構築も進んでおり、当市の地方創生に向けた取組の大きな力になっていると考えているところです。

熊本大学副学長・熊本創生推進機構副機構長 金岡省吾

未来創造塾は、これまで全国8か所で開催し、300名あまり修了生を輩出、今年度からは新たに石川県小松市でも創設され、9か所で100名以上の地域事業者の皆さんに受講いただいております。

また、未来創造塾修了生の皆さんにご協力いただく中で高校連携事業として、年間約1,800人への授業を実施するとともに、未来創造塾修了生と都市圏企業社員との連携によるイノベーション創出を目指した越境学習事業についてもスタートさせるなど、未来創造塾を起点とした地方創生を進めているところです。

熊本大学では、こうした取り組みを武器に、令和8年度に文理融合・探究学習を柱とした「共創学環」を創設し、地域への愛着を変え、将来帰ってくる、もしくは都会から関係人口として関わるという、新しい地方への人の流れを作ってまいりたいと考えております。

その中心は未来創造塾です。

未来創造塾には大きな可能性が秘められていますので、皆さん小さな一歩を踏み出してみてください。

■来賓挨拶

近畿財務局和歌山財務事務所長 塩士泰啓 様

私ども和歌山財務事務所は、地域貢献活動を果たすべく、財務省の総合出先機関として、また金融庁から事務委任を受けて、起業や事業者の支援、観光といった分野で地域活性化に努めています。また、たなべ未来創造塾につきましても後援機関として参加しております。

私自身、この第9期の講義には何度も出席させていただきましたが、塾生の皆さんは、目指すビジネスは様々ですが、田辺の地をご自身のビジネスを通じて盛り上げていきたいという共通の価値観で繋がっていると強く感じました。

そして、たなべ未来創造塾を通じて繋がった方々が、お互いに協力し、高め合うことで、ビジネスがさらに広がりを見せ、地域活性化に貢献している点が非常にすばらしいと感じており、私ども財務局としても、このたなべ未来創造塾を引き続き応援していきたいと考えております。

日本政策金融公庫南近畿地区統轄兼特別参与 田上和彦 様

第9期生の皆さん、約半年間、本当にお疲れ様でした。
皆様の発表を大変楽しみにしています。

また、式の中で神島高校の生徒さんから、ビジネスプランの発表があると伺っています。

神島高校では、単なるビジネスプランの作成に留まらず、熊野米を使用したアイスクリーム開発や、第13回のご当地グルメ甲子園で、準優勝を獲得する等、大変意欲的な活動に取り組まれており、日本政策金融公庫が開催する「高校生ビジネスプラングランプリ」にも参加いただき、今年度は見事「学校賞」を受賞されました。

更に、今年度は智辯学園和歌山高等学校が和歌山県内初のファイナリストに選ばれており、和歌山県内の高校生たちの熱量を感じる年となりました。

たなべ未来創造塾におかれましては、そんな若者たちの憧れの存在として、その背中を見せ続けてくれることを切に願っています。

■経過報告 たなべ未来創造塾<第9期>の取組について

田辺市たなべ営業室価値創造係 石野善之

成28年度にたなべ未来創造塾を創設し、これまで8期95名の修了生を輩出しております。地域課題の解決をビジネスの視点で考えていくことで、CSV(共通価値の創造)、企業と地域がwin-winとなる社会の構築を目指すとともに、大きなプロジェクトよりも地域に根差した小さなビジネスを数多く創出し、それらをつなげることで地方創生を実現しようと取り組んでまいりました。

今回発表するビジネスプランはあくまでもコンセプトであり、実現に向けては、今後も関係機関の方々の引続きご支援をお願いします。

また、プレゼンテーションについては、特に次の2点について注意しながらお聞きください。

・地域課題と企業課題の両方を解決しているか
・自社や地域の強みをいかしているか

ご来場の皆様方も、塾生達の新たな挑戦を応援くださいますようお願いいたします。

■塾生最終プレゼンテーション

一言アピール
塾生が作り上げたビジネスプランについて、1人3分の時間内で事業内容の要点、概要などを発表しました。

ビジネスプラン
未来につなげる香りのプロジェクト
塾生:(株)中川 沖将勝

ビジネスプラン
農業しようら!
豊かな地域社会を目指して
塾生:きたがわ農園 北川翔大

ビジネスプラン
健康=梅干しで思考を変えませんか?
塾生:山森農園 山森康博

ビジネスプラン
整理整頓から始める自宅での転倒予防
塾生:クリーンクラブ 中林勇貴

ビジネスプラン
出張型整骨院
紀南の体操お姉さん
塾生:ゆかり整骨院 堀友加里

ビジネスプラン
女性の『頑張りたい』を応援
Baby Step プロジェクト
~選択肢を広げ活躍できる地域へ~
塾生:Ripple design 鈴木裕美子

ビジネスプラン
子育てしているすべての人が今日も笑顔で
塾生:Kids Room あねもね 玉井有紀

ビジネスプラン
食から始まる地域の和
塾生:Oyakon Cafe & Laundry 中原光奈子

ビジネスプラン
旧道復活プロジェクト
子ども達の声が通りから聞こえてくる街をつくろう
塾生:(合)KTW 佐藤孝

ビジネスプラン
文具屋の孫が創る
みんなのたまり場大作戦
塾生:寒川紙店 田中裕子

ビジネスプラン
自立を目指した学びの場と繋ぐ仕組み
塾生:(一社)Gifted Creative 峯上良平

ビジネスプラン
地域課題解決型
BtoSマッチングサービス
塾生:E-MOTION(株) 山本直与

ビジネスプラン
たなべ未来創造塾をアップデート!
塾生:(株)南紀白浜エアポート 森重良太

■ポスターセッション

塾生が作成したポスターの前で、個別プレゼンテーションを行うポスターセッションを実施しました。

■修了証授与

たなべ未来創造塾塾長である真砂市長から、9期生一人ひとりに修了証を授与しました。

■トークセッション
 テーマ「これからの新たな時代に求められる共創のまちづくりとは」

パネリスト
真砂充敏(田辺市長、たなべ未来創造塾塾長)
塩士泰啓 様(近畿財務局和歌山財務事務所長)
山口賢治 様(日本政策金融公庫田辺支店長)
9期生13名、ご来場の皆様 

コーディネーター
金岡省吾(熊本大学副学長・熊本創生推進機構副機構長)

◯話題提供

石野善之(田辺市たなべ営業室価値創造係)
神島高校のお二人

トークセッションに先立ち、話題提供として、田辺市たなべ営業室価値創造係 石野から修了生のその後の取組等について紹介するとともに、神島高校の皆さんから、日本政策金融公庫主催の2024年度高校生ビジネスプラン・グランプリにて学校賞を受賞された「梅やきとりでLet’s防災~地域のみなさんが防災について改めて意識するきっかけに~」についてプレゼンテーションが行われました。

トークセッションでは、「これからの新たな時代に求められる共創のまちづくりとは」をテーマに、まず9期生13名からたなべ未来創造塾に参加した感想や今後の抱負が述べられました。続いて、真砂市長、塩士所長、山口支店長からプレゼンテーションを受けての感想や講評をいただくとともに、関係機関、講師の皆さまからもコメントをいただきました。

◯9期生コメント

  • 貴重な経験をさせていただきました。今後も同期生、塾に関わる方々との交流の中で、今後も互いに励ましあいながら成長を続けたいです。
  • 地域の課題や自社の強弱を見つめ直す機会となりました。今後も塾に関わる方々と協力しながら、地域のために尽力したいと考えています。
  • 地域の事を深く見直す機会となりました。今回の発表が終わりでなく、本格的なスタートとして、今後も自己のブラッシュアップ、塾に関わる方々と連携を強化していきたいと思います。
  • 同世代や少し年上の方々と関わり、学び共有する体験は非常に有意義でした。地域のことを真剣に考える仲間が出来たことを嬉しく思います。
  • 多くの方の意見を聞くことができ、自身の地域に応じた課題解決の考え方を磨くことができました。また、良い仲間と出会うことも出来ましたので、参加させていただき大変感謝しております。
  • 自己、地域、未来に真剣に向き合い、実践する機会となりました。今回得たものをまた一つ一つ自身の活動に活かしていきたいと考えています。ありがとうございました。
  • 多くの方と出会い、その言葉一つ一つに刺激をいただきました。今回得たことを自身の事業に活かし、塾に関わる方々と協力し、地域課題解決に向けて活動できることを楽しみにしています。
  • 勇気をもって、未来塾に入塾して良かったと感じています。自身の目標の具体化や、田辺市の現状及び未来についての考えを深めることが出来、また、得難い仲間にも巡り合えました。この経験を次のステップに繋げていきたいです。
  • 仲間と出会い、すごく刺激を受けることが出来ました。今日発表したビジネスプランも自分1人では出来なかったと思います。今後は、ビジネスプラン実行、継続に向けて歩みを進めていきます。
  • 地域に根付き活動をしている多くの方に出会えて良かったです。そして、そのような方がたくさんいることに驚き続けた半年間でした。自社の創業100年を目指し、子供たちの笑顔を守る活動を続けていきたいです。
  • 視野を広げる機会、また、熱意を持った方々と出会う機会いただきありがとうございました。これからも子供たちや若者たちの良い未来を作るために、努力していきたいです。
  • 地域課題について、知っているだけで何もしていない自身に気づき、出来る事を考え、実行し、地域の当事者になるという気持ちを育てる機会をいただいた大変有意義な時間でありました。地域に貢献できる事を全力で行いたいです。
  • 地域、仲間、自己と向き合い、自分が地域に何ができるのか、どう存在すべきかを深く考察する機会となりました。今日を新たなスタートとし、地域の皆さんと力を合わせて、少しでも街が良くなるように貢献したいと思います。

◯講評・コメント

真砂市長

地域、自社の課題を考え、見つめなおす、濃度の濃い時間を過ごしたことが伝わってきたプレゼンテーションであったと感じています。

ビジネスプランの実行も大事ではありますが、一番重要となるのは継続力であると思います。 塾生の皆さんも言われていましたが、未来創造塾ならではの繋がりも皆さんが得た成果の一つであります。これらを活用しながら、持続可能なビジネスについて、考えも深め、着実なスタートを切ってくれることを期待しています。

塩士 近畿財務局和歌山財務事務所長 様

本日の発表は、9期生の皆さんが地域課題や自身の強みに関しまして非常によく考察されており、地域の中でどのようにしてビジネスに活かしていくのかが明確で分かりやすい内容であったと感じております。途中、演習も拝見しておりましたが、最終発表に向けて大幅にブラッシュアップされており、9期生の皆さんの努力が伝わってきました。ぜひ、ビジネスプラン実現に向けて前進していただきたいと思います。

また、迷った際には、たなべ未来創造塾で得た繋がりのみならず、我々関係機関にも相談いただければと思います。

たなべ未来創造塾の取組は、地域活性化事例といたしまして、全国的にも非常に注目されておりますし、和歌山財務事務所としても、少しでもお力になれればと考えております。

山口 日本政策金融公庫田辺支店長 様

昨年8月に田辺支店に配属となり、途中からではありましたが、たなべ未来創造塾に参加、伴走を通じて、ブラッシュアップのプロセス、最終発表を近くで見ることが出来、大変素晴らしい経験をさせていただきました。

今まで、全国のいろいろな事例を拝見した中、今回たなべ未来創造塾に参加し、改めて感じた、たなべ未来創造塾の特徴は、多種多様なバックグラウンドを持った参加者による幅広い問題の取り扱いや、塾生同士のネットワークであると思いました。

もちろん、行政機関が運営していること、多くの支援機関があることも特徴ではあるのですが、修了生を含めた塾生の繋がり、事業所同士のネットワークが強いということが、地域を盛り上げる上では大変重要であると思います。

我々、日本政策金融公庫はもちろん、ご臨席いただいております和歌山県信用保証協会様や紀陽銀行様、きのくに信用金庫様、田辺商工会議所様など、関係機関が一体となって、今後もバックアップさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。

また、迷った際には、たなべ未来創造塾で得た繋がりのみならず、我々関係機関にも相談いただければと思います。

たなべ未来創造塾の取組は、地域活性化事例といたしまして、全国的にも非常に注目されておりますし、和歌山財務事務所としても、少しでもお力になれればと考えております。

◯ご来場の皆様からのコメント

  • 現状分析がしっかりと出来ており、企業課題、地域課題について考察出来ていると感じました。塾を通じて築いた繋がりを活用し、プラン実行を実現してくれることを期待しています。 塾生のネットワークとのみならず、我々協力機関のネットワーク使っていただければと思っております、いつでもお声掛けください。
  • 地域の課題に向き合いながらビジネスプランを考えられてる姿を拝見し、将来に向けての頼もしさを感じました。
  • 第9期生の皆様、素晴らしいプレゼンテーションありがとうございました。我々も創業支援セミナー、若手経営者育成、経営相談会等、地域と連携して、皆様と一緒に課題解決に向けて取り組んでまいりますのでご協力の程お願いいたします。
  • 人口が減り、行政機関が働く人間も減ってくる中、未来創造塾修了生のように、活力ある皆さんの活躍の場は増えてきています。実際に活躍されている先輩方も多くおられますので、皆さんにも先輩方に続いていただければとありがたく思います。 支援制度も多数ございますので、何かありましたら気軽にご相談ください。
  • 地域の主役は皆さんであると強く感じる式となりました。ぜひとも夢を実現させてください。 我々関係機関も精一杯支援いたしますので、気軽にご相談ください。
  • すごく地に足のついた、実現性の高いビジネスプランが多かったと感心しております。今日発表した素晴らしいビジネスプラン実行に向けて、着実に歩みを進めていただければと思います。
  • 皆さんのビジネスプランの中に、地域のコミュニティの再生というテーマを強く感じました。 地域のプライドを再構築するというのが大事という思いが強くありましたが、これからは地域のコミュニティをもう1回、それぞれの分野、エリアで再構築していく必要があるという気付きをいただきました。
  • まず始めることが大事ですので、実行に向けて頑張って下さい。
  • 田辺市のいたるところに、たなべ未来創造塾を感じることが出来ました。 我々姉妹塾もまちに根付いたものになるように田辺市を目指し頑張っていきます。

◯真砂市長

たなべ未来創造塾も、次回は節目となる10期を迎えようとしているなか、塾の存在意義について再度考えを深める時期が迫っていると感じています。

そして、私個人、市だけで考えるのではなく、関わっていただいている多くの方々にも協力していただき、より良いたなべ未来創造塾の新たな一歩になる、そういった10期にしたいと考えています。

■閉会挨拶

田辺市副市長 木村晃和

たなべ未来創造塾は、本日、第9期生13名が修了し、修了生総勢108名となりました。

第9期生の皆さんには、今後は修了生として、先輩方との交流、連携を深めて、自身のビジネスプランの実現、自社のビジネスの拡大、そして、地域に活力与える地域の当事者となることを期待しています。