1日目

導入講義 対話から生み出す新たな価値導入講義

日時:2023年07月22日  13:00~17:30

会場:田辺市役所別館 3階 大会議室

地域課題をビジネスで解決する「たなべ未来創造塾第8期」がスタートしました。
今年度は13名の塾生が、来年2月までの約8ヶ月間、様々な講義を通じて、自らのビジネスプランを考え、修了式において発表します。

主催である田辺市と熊本大学熊本創生推進機構、連携・協力機関である金融機関や後援となる商工関係団体の「産学官金」が一体となり、CSVの醸成、ローカルイノベーターの創出を目指します。

第1日目となる今回は、「たなべ未来創造塾」の概要や講義に臨む心構えなどの共有と、塾生からの自己紹介の後、福岡県福津市津屋崎を拠点に活動している「津屋崎ブランチ」代表の山口覚氏を招き、「対話と創造から生み出す新たな価値」をテーマに、先進地である津屋崎の事例や、対話から新たな価値を生み出していくことの大切さを学びました。

■導入講義「たなべ未来創造塾」イメージの共有

田辺市たなべ営業室 係長 入口直史

本格的な講義に入る前のオリエンテーションとして、「たなべ未来創造塾」の概要や考え方について共有しました。
全国平均に比べて、田辺市は早いスピードで人口減少が進んでいます。その結果、引き起こされる様々な地域課題に対しては、ビジネスの視点で解決に取り組む「CSV」(Creating  Shared Value=共通価値の創造)の考えが重要で、地域で出来る小さなビジネスが注目される時代へと変遷しています。

これからの講義を通して、塾生のみなさんには国の動向や社会情勢を十分に把握しながら、人口減少から生じる様々な地域課題(子育て、高齢化、後継者不足など)を知り、自身の本業を活かしてどのような地域課題が解決出来るかを見い出してくれることを期待しています。

そして、未来創造塾では、市内外の講師やこれまでの修了生から学ぶに当たり、

  • 何をすれば自社が生き残れるか
  • 自社の強み、自身の特技は何か
  • 自社のある地域のことを知る

これを常に意識して、講義やディスカッションに臨んでいただきたいと思います。

■塾生自己紹介

塾生それそれが企業情報や事業内容を説明するとともに、企業の課題として、「業界はどうなっているか」「これまで何をやってきたか」「このままでは自社の将来はどうなるか」について発表し、互いの課題や悩みを共有しました。

■「対話と創造のまちづくり」 ~津屋崎ブランチの取組を通して~

講師  津屋崎ブランチ/LOCAL&DESIGN株式会社代表取締役 山口 覚 氏

福岡県福津市津屋崎を拠点に活動している「津屋崎ブランチ」代表の山口覚氏をお招きし、『対話』から新たな価値を創造し、まちづくりに繋げる考え方を学びました。

未来創造のイノベーターに求められる「あり方」には、

  • 集いの場、対話の場をつくる
  • 常識を疑う「発明家的発想」を持つ。
  • 互いの得意と苦手を受け入れる。

これらが必要であると山口さんはおっしゃいます。

○『対話』とは

新たな価値を創造する『対話』とは、

  • 私たちと思う
  • 耳を澄ませて聴く
  • 否定も断定もしない
  • 答えは一つと思わない
  • 沈黙を歓迎する
  • アイデアをつなげる
  • 心の変容を自分に許す

講義で講師の話を聴く。講師の話す事柄は聴講者に等しく聴こえますが、その話をどのように受け止め、感じ、また、どのように考えるかはひとそれぞれです。聴き手の数だけ受け止め方や考え方がある。つまりそれだけ違いがあるということです。

この違いにこそ価値がある。その違いがどこから生まれるのかに心を寄せる。また、これまでの経験などを踏まえて今自分が考えていること、あるいは常識だと思っていることが本当に正しいのか、もっと別の考え方があるのでは、と「発明家的発想」で疑問に思ってみる。こうしたことを意識しながら『対話』することで、新しい発見、新しい価値の創造につなげていくことができる。

互いの考えに違いを見つけ、いかに自分の考えが正しいかを論破する。話し合いの場では、ついこうした状態に陥りがちですが、これは「討論」であって、私たちが未来創造塾で大切にするのは『対話』です。ぜひこの『対話』を、講義の中で塾生のみなさんとともに実践していきたいと思います。

○「競争」「所有」「依存」から「協力」「共有」「自立」へ

これまでの都会的な考え方では、

  • 競争:同じベクトルの中で優劣を競う
  • 所有:「モノ」に豊かさを感じる
  • 依存:別の言い方をすれば「便利」「消費者」

これらは、経済を拡大させることにおいて、相対的な価値を大切にしていると言えます。

しかしこれから私たちが大切にしたい考え方は、

  • 競争 ではなく 協力:一人ではなし得ないことが可能になる
  • 所有 ではなく 共有:みんなで使うことで喜びを分かち合う
  • 依存 ではなく 自立:別の言い方をすれば「創る」

こうした考えのもとで行動することで、お互いに関係性が生まれ、みんなが消費者ではなく当事者になります。経済は「手段」として必要ですが、「目的」は、あくまで一人ひとりの『well being』である。

この「協力」「共有」「自立」が、地域でみんなが幸せを感じながら暮らすことの出来る環境を創り出すためのキーワードであると、正にこれを体現している津屋崎の取組からお話をいただきました。

毎回の講義においては、塾生同士のディスカッションが重要となってきます。

これからの講義では、山口さんから教わった『対話』することの大切さを常に意識し、8期生みんなで協力しながら、取り組んでいきたいと思います。