10日目

超高齢社会の地域ビジネスの可能性

日時:2023年12月02日  14:00~17:00

会場:南方熊楠顕彰館 1階 学習室

10日目の講義では、三菱UFJリサーチ&コンサルティング 共生・社会政策部長 主席研究員 岩名礼介氏を講師に迎え、「高齢化」という地域課題に、地域、民間企業がどのように関わり、何をビジネスチャンスとらえるかを考える講義となりました。

■講義 「超高齢社会の地域ビジネスの可能性」

講師 三菱UFJリサーチ&コンサルティング
共生・社会政策部長 主席研究員 岩名礼介氏

「あなたの知っているおじいちゃん、おばあちゃんをイメージしてほしい。」

そんな問いかけから講義がスタートしました。

受講生が幼少期に見てきた高齢者は、戦争を体験し、戦後復興の中で暮らしてきた世代ですが、今後の高齢者は、バブル経済の中で20代を過ごしている世代であり、「高齢者」といっても、ひと昔前とは趣味嗜好も違うし、一律のイメージがあるわけでもありません。

そのため、高齢者にアプローチする際に、高齢者イメージの先入観を除去しないとビジネスを見誤る可能性があります。

また、高齢者や介護等の高齢者特有のニーズに関する仕事をしている方は、高齢者人口の増加により、高齢者のニーズが市場化されビジネスチャンスがあることはもちろんですが、高齢者に関する仕事をしていないという方であっても、高齢者人口が増えることによる「市場の高齢化」への対応によるビジネスの変化は避けられません。

増える「ちょっとだけ」支援が必要な高齢者

2035年には85歳以上が人口の10%近くを占める時代を迎えます。
85歳になると介護保険の認定率が50%を超えますが、認定されていない方は支援が必要ではないということではなく、生活をしていく中でのちょっとした困りごとを抱えている方が多く、地域や家族の支えの中で生活しているケースが多いのが実態です。しかし、少子高齢化により、地域や家族、介護保険だけでは対応できない時代になってきています。

こうした中で、自立した生活をしつつも「ちょっとだけ」できないことを抱える高齢者が爆発的に増えることが予測され、今後の高齢者は、多様性が認められる時代の中で暮らしてきたこともあり、多様なニーズに対応していくことが求められます。

「家族」と「介護保険」だけでカバーできない時代

国や地域が進める地域包括ケアの考え方では、「なじみの関係性」の中で、「選択肢」のある生活が重要だと言われています。すべてのニーズに「選択肢」を準備できないとしても、選択肢がない生活は避けたいものです。

高齢者のニーズは多様化しているにも関わらず、介護保険は、全国統一の仕組みのため、行政サービスの中では、こうした「選択肢」に対応していくは困難です。

一方で、柔軟性と多様性に対応できる民間企業なら、「選択肢」に対応することが可能であり、超高齢社会においては、かなりのビジネスチャンスが生まれる可能性があります。

介護・福祉というキーワードに惑わされない

介護・福祉というキーワードにこだわらずに、自分たちの得意なこと自分たちの周りでこれは使えるなと思えることを、もうあと少しだけ広げてください。

特に地方では、多様化していくニーズの中で、小さな生活支援ニーズを無理にサービス化したり価格設定をすると、柔軟な対応が困難になります。

本業サービスの「ついで」に「ちょっとした困りごと」に対応し本業サービスに繋げるという考え方もあれば、ニーズは多様であるものの市場が小さいという実情がある地方では、人口が密集している都会のように専門店化するのではなく、多様なメニューを持つことも重要な視点なのではないでしょうか。

まず、関心を持ち、地域にローカルログインすることにより、多様化し、地域課題の解決へと近づいていくはずです。

あなたのビジネスで考えてほしいこと

・あなたのビジネスは、人口構造の影響をうけますか?その準備はできていますか?
・なぜ高齢者が、あなたのサービスを買わないか知っていますか?
・「1個いくら」で細かく売っていませんか?
・「ついで」にできること、本業をし「ながら」できることはないですか?

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