1日目

導入講義 地域活性化論➀

日時:2022年07月21日  13:00~16:00

会場:田辺市役所 別館3階 大会議室

地域課題をビジネスで解決する「たなべ未来創造塾第7期」がスタートしました。

塾生12名は、来年2月までの約8か月間、様々な講義を通じて、自らがビジネスプランを考え、修了式において発表します。

主催である熊本大学熊本創生推進機構と田辺市、連携・協力機関である金融機関や後援となる商工関係団体の「産学官金」が一体となりCSVの醸成、ローカルイノベーターの創出を目指します。

導入講義「たなべ未来創造塾」イメージの共有

田辺市たなべ営業室 係長 鍋屋安則

本格的な講義に入る前のオリエンテ-ションとして、「たなべ未来創造塾」の概要や考え方について共有しました。

2010年をピークに急速な人口減少を迎えている中で、地域づくりにおいては、かつての大量生産大量消費の時代からCSVやソ-シャルヒジネス、小さなビジネスが注目される時代へと変遷しており、企業が地域課題を解決していくことで持続可能な地域を創っていく必要性が高まっています。

そのため、講義を通して、国の動向や社会情勢を十分に把握したうえで、地域課題の根っこの部分である人口減少、そこから派生する子育て、高齡化、後継者不足など様々な地域課題を知ることで、本業を生かして自分が解決できる地域課題は何かを見出してほしいと考えています。

次回以降の講座では、先輩塾生や市の実情に即した市内外の講師が登壇するなかで、

  • 何をすれば自社が生き残れるか
  • 自社の強み、自身の特技は何か
  • 自社のある地域のことを知る

ということを常に意識して、講義やディスカッションに臨んでください。

塾生自己紹介

塾生それそれが企業情報や事業内容を説明するとともに、企業の課題として、「業界はどうなっているか」「これまで何をやってきたか」「このままでは自社の将来はどうなるか」について発表し、互いの課題や悩みを共有しました。

地域活性化論① ~新たな地域づくり、CSV、魚津・田辺の地域課題解決企業行動~

講師:熊本大学熊本創生推進機構 金岡省吾 教授

金岡教授は、まず自己紹介を兼ね、民間シンクタンク時代のプロジェクト事例などを話題にしながら、「どんなに傑作な報告書を作っても、第三者が作ったプロジェクトは動かない。実践者自らが考えることが重要である。」と痛感し、その後、民間シンクタンクから大学(2008年富山⇒2021年熊本)へと活躍の場を変えたことを紹介しました。

富山にて取り組んだ魚津三太郎塾では、「水循環」を大きなテーマとし、これまで8期69名の修了生を輩出、その中から60%近くの地域課題を解決するビジネスが生まれてきました。

こうした活動が富山県高岡市、和歌山県田辺市へと広がり、富山大学においては「地域産業支援プログラム表彰事業イノベーションアワード2018」で優秀賞を受賞。さらに、たなべ未来創造塾を中心とした田辺市の地方創生の取り組みが「シティプロモーションアワード2021」で金賞と特別賞(人材育成賞)を受賞するとともに、内閣府「2022年度SDGs未来都市及び自治体SDGsモデル事業」に採択されるなど、地域発イノベーション創出の取り組みが全国で注目・評価されはじめています。

地方創生とは何でしょうか。

  • 人口減少を和らげる。
  • 地域の外から稼ぐ力を高めるとともに、地域内経済循環を実現する。
  • 人口減少に適応した地域をつくる。

の3点の視点で取り組んでいくことが必要です。

では、なぜ人口減少は起こるのでしょうか。

「自然減」と「社会減」によるメカニズムを理解し、人口減少が進むことで、どのような地域課題を引き起こすのかを自分たちで考えていくことが必要で、その地域課題の中にニーズ・ビジネスチャンスがあるというのです。

ケーススタディとして、魚津三太郎塾の塾生の事例では、売上げ低下という企業課題と、これまで地域を形成してきた「水循環」が失われつつあるという地域課題の両方を解決するために、ストーリー・共感を生み出す丼ぶりを開発したことをきっかけに、取り組みを徐々に広げ、業績を回復していったことを学びました。

人口減少が進む中、企業は、地域とどう向き合いながら共通価値を見出し、企業利益につなげていけるかがこれからの時代を生き抜くためには重要なのです。