14日目

修了式

日時:2023年02月18日  14:00~17:00

会場:和歌山県立情報交流センター Big・U

たなべ未来創造塾<第7期>修了式は、7期生のほか、真砂田辺市長、甲斐熊本大学副学長、講師陣、近畿財務局和歌山財務事務所、金融機関、後援機関、神島高校、姉妹塾、たなべ未来創造塾修了生など約150名の皆さんにご参加いただく中で、久々に人数制限のない中、盛大に開催することができました。

真剣に向き合うからこそ生まれる摩擦、そして、笑いあり、涙あり。
いろんなできごとが7期生の結束を固め、本当に素晴らしいチームになりました。
一人一人が地域課題に向き合い、自分の強みや本業を生かして解決する。
足りない部分は、補い合う。

まさに「共創」。みんなで地域を創っていくすばらしさを見せてくれました。

修了式でのプレゼンは、みんな堂々としていて、頼もしく、明るい未来を感じさせてくれるだけの力がありました。
会場の皆さんの心にしっかりと響いていたと思います。
7期生の皆さん、本当にお疲れ様でした。

神島高校が実施している「神島塾」。
たなべ未来創造塾の修了生らが講義に出向くことで、高校生と大人たちのイノベーションが起こっています。
そんな「神島塾」から生まれたビジネスプラン「Ji&Bar」の発表がありました。
高校生とは思えない堂々としたプレゼンで、高校生が真剣に地域課題に向き合う姿は会場を魅了していました。
この「Ji&Bar」は、日本政策金融公庫主催のビジネスプラン・グランプリで全国4,996の応募の中からなんとベスト100に選出されています。

地方では、人口減少という大きな地域課題を抱えていて、特に高校を卒業したあと大学進学等で地域を離れる「社会減」が大きな要因となっています。
しかし、たとえ地域を離れたとしても、将来帰ってきたいと思える地域をいかに創るか。
そのためには、地域で輝く「カッコいい大人」が必要です。
こうした大人たちの姿を見せることができれば、人口減少を歯止めできるかもしれない。
一人一人が、自分に解決できる地域課題を見つけ出し、自分ごとで考え、実行する。
たなべ未来創造塾修了生たちの新たな挑戦を今後も温かく見守っていただけますと幸いです。

■主催者挨拶

田辺市長 真砂充敏(たなべ未来創造塾長)

この3年間は新型コロナウイルスの影響を受けて、塾の運営も様々な試行錯誤をしてまいりましたが、ようやく人数制限がない中で修了式を迎えることができました。
これまで6期70名の修了生を輩出し、その約7割がビジネスプランを実行しているとともに、それぞれが連携しながら、新しい価値を生み出しています。
また、修了生の皆さんには、「たなコトアカデミー」や「熊野リボーンプロジェクト」「ことこらぼ」などの関係人口創出事業にも大きく関わっていただいており、こうしたたなべ未来創造塾を核とした取組がシティプロモーションアワードで金賞と特別賞(人材育成賞)を受賞、SDGs未来都市及び自治体SDGsモデル事業に採択されるなど、全国からの注目が高まっています。
また、熊本大学を中心に熊本県八代市、天草市、玉名市、阿蘇地域、富山県南砺市、今年度からは菊池市で姉妹塾が開催されており、地方と地方との新たなネットワークへと広がっています。

■来賓挨拶

近畿財務局和歌山財務事務所長 田中好 様

たなべ未来創造塾は、地域活性化の成功事例として全国的にも注目を集めておりますが、私どもといたしましてもCSV(共通価値の創造)の考えのもと、地域と企業がwin-winの関係性を構築し、さらに継続してつながり、発展していくことは、すばらしいと感じております。
私自身も何度か第7期の講義に出席いたしましたが、回を追うごとに活発に意見を交換している姿を拝見し、地域に対する熱い思いを持った皆さんが集まっておられると感じるとともに、同期生だけではなく期を越えたつながりの強さも実感しております。
こうした絆の強さが全国から注目される理由の一端ではないかと考えているところです。

日本政策金融公庫南近畿地区統轄 田上和彦 様

私がいかにたなべ未来創造塾のファンであるかご紹介させていただきたいと思います。
5年前に当時の田辺支店篠田支店長からたなべ未来創造塾の素晴らしさを聞いたのが始まりで、その後、内閣府「まち・ひと・しごと創生本部」の委員会で金岡教授、田辺市の鍋屋さん、公庫の高橋が講演をされたことを伺い、ずっとこの塾に触れてみたいと思っていました。
こうした中、昨年、大阪に転勤となり、ようやく参加できるようになったことを大変うれしく思っています。
講義に何度か出席させていただくたびに、皆さんのプランがブラッシュアップされていく姿に感激していました。今日はどのような最終発表になるのか期待をしております。

また、昨年11月に開催された熊本大学合同会議にも参加させていただきましたが、田辺市役所の鍋屋さん、株式会社たがみの田上社長、株式会社高垣工務店の石山社長のプレゼンに対し、姉妹塾等から参加された150名もの方々が感動していました。
今年の4月には公庫本店の総裁以下役員等の前で金岡教授にご講演いただくこととなっており、こうした活動が全国に広がることを期待しております。

■経過報告

たなべ未来創造塾~第7期の取組について~
田辺市たなべ営業室 係長 鍋屋 安則

平成28年度にたなべ未来創造塾を創設し、これまで6期70名の修了生を輩出してまいりました。
地域課題の解決をビジネスの視点で考えていくことで、CSV(共通価値の創造)、企業と地域がwin-winとなる社会の構築を目指すとともに、大きなプロジェクトよりも地域に根差した小さなビジネスを数多く創出し、それらをつなげることで地方創生を実現しようと取り組んでまいりました。
これから7期生が発表するビジネスプランはあくまでもコンセプトであり、収支計画等のブラッシュアップについては、金融機関や商工会議所等の関係機関の支援をお願いいたします。

また、
・地域課題と企業課題の両方を解決しているか
・自社や地域の強みをいかしているか
について、特に注意しながら聞いていただければ幸いです。

今期は全てリアルで開催することができたことから、塾生同士のコミュニケーションが図られ、一体感のある素晴らしいチームになったと感じています。
会場の皆さまには、7期生たちの新たな挑戦にご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

■塾生最終プレゼンテーション

一言アピール
塾生が作り上げたビジネスプランについて、1人3分の時間内で事業内容の要点、概要などを発表しました。

ビジネスプラン
大斎原の景観を守る

塾生:山里舎 金 哲 弘

ビジネスプラン
紀南の人事部
~田舎には「シゴト」がないを変える!~

塾生:(株)TODAY 山田 かな子

ビジネスプラン
Magonote 住み慣れた地域で自分らしい暮らし
~シニア世代に寄り添うサービス~

塾生:桝谷 由美

ビジネスプラン
田辺の“推し”農家になります
~オーダーメイド農家として田辺になくてはならない存在に!~

塾生:山本農園 山本 宗平

ビジネスプラン
本宮のお茶畑を守りたい
「なっちゃんの挑戦」

塾生:Natsumi Chatsumi 倉谷 夏美

ビジネスプラン
田辺と関係人口をツナグコミュニティの場
~コンシェルジュ居酒屋~

塾生: 旬彩居酒屋膳 稲垣 基

ビジネスプラン
おうちでママ美容師
前髪カットでコミュニティづくり

塾生: Partidahair 田中 謙吾

ビジネスプラン
アートでつなぐ地域のWA

塾生:W.story 加藤 綾

ビジネスプラン
樹の命を活かす“木のスプーン”
~健康な森林を次の世代に繋ぐため、今できる木の活かし方~

塾生:(株)はぐくみ幸房 大谷 栄徳

ビジネスプラン
変わらない山づくり
~紀州備長炭アラカシにもブランド力を 秋津川を循環する里山のモデルへ~

塾生:木ノ国製炭 堀部 剛史

ビジネスプラン
実家の片づけサポートコミュニティー
~『片付け』からはじまる、世代を超えたつながり~

塾生:Re-base organize 榎本 けいこ

ビジネスプラン
Salada bowl
~ええ感じの人 ええ感じの場所~

塾生:(株)横田 庄司 豊

ポスターセッション

塾生が作成した1枚のポスターの前で、個別にプレゼンテーションをしていくポスターセッションを開催しました。

■修了証授与

たなべ未来創造塾長の真砂市長から塾生一人一人に修了証が授与いたしました。

■トークセッション

テーマ:「これからの新たな時代に求められる共創のまちづくりとは」

パネリスト:
真砂 充敏  (田辺市長)
甲斐 広文  (熊本大学副学長・熊本創生推進機構副機構長)
田中 好 様(近畿財務局和歌山財務事務所長)
武藤 純司 様(日本政策金融公庫田辺支店長)
塾生12名
来場者の皆さま

話題提供:
鍋屋 安則(たなべ営業室価値創造係長)
神島高校生徒の皆さん

コーディネーター:
金岡 省吾(熊本大学熊本創生推進機構・教授)

トークセッションに先立ち、話題提供として、鍋屋係長から修了生のその後の取組を紹介するとともに、神島高校生徒から『Ji&Bar』についてのプレゼンテーションが行われました。

トークセッションでは、「これからの新たな時代に求められる共創のまちづくりとは」をテーマに、まず12名の塾生からたなべ未来創造塾に参加した感想や今後の抱負が述べられ、その後、真砂市長、甲斐副学長、田中所長、武藤支店長から感想や講評を頂くとともに、連携機関や協力機関、後援機関、ご来場の皆さまからコメントを頂き、修了式を終えました。

<塾生コメント>

  • 毎回、講義に来るのが本当に楽しみになっていました。人は人間関係の中で育つとこれまで思ってきましたが、未来塾でより体感し、成長させてもらいました。
  • 自分の想いを同期や修了生に投げかけてきましたが、みんなが共感してくれて、たくさんのアドバイスをいただけたのがうれしかった。今後は、何かやりたいと思っている若者をサポートしていきたいと思っています。
  • 大阪から移住してきたばかりで受け入れてもらえるのかという不安の中、未来塾に参加しましたが、皆さんに支えていただき、田辺に移住して本当に良かったと思っています。
  • 自分が成長する機会をいただけたことに感謝しています。今後は、発表したプランの実現に向けてしっかりと頑張っていきたいです。
  • 未来塾に参加していなければこれほどたくさんの皆さんに出会うことができなかったと思っています。既に商品を取り扱ってくれるという未来塾の方がたくさんいます。今後は、もっと多くの皆さんとつながっていきたいです。
  • 地方創生はどこか他人ごとのように感じていましたが、この半年間真剣に向き合うことで、自分ごとで考えられるようになりました。このメンバーと一緒で本当に良かったと思います。
  • この半年間、高校のクラブ活動のような気持ちでやれました。これからもこのメンバーと仕事ができればうれしいと思っています。今後の抱負はギネス記録挑戦です。
  • とても楽しい半年間でした。アートの視点からできることはまだまだたくさんあることがわかったので、皆さんの協力を仰ぎながら頑張っていきたい。
  • 7期生は、個性的で魅力的なメンバーばかりでした。このメンバーとやれて幸せです。田辺は本当に魅力的な地域で、そのシンボルがこの未来塾だと思います。
  • 私は炭焼きの仕事が大好きです。炭焼きの仕事はIターンが非常に多いのですが、これまで地元の皆さんが引き継いできた紀州備長炭を私たちが引き継いでいけるよう頑張っていきたいと思います。
  • 3人の子どもを抱えながらの講義は本当に大変でした。しかし、こんなに生きている実感を味わえる時間はなかったと思っています。この事業にもっとママが参加してほしいと節に願います。
  • みんなのコメントが少し暗いのは、未来塾が終わってしまうことが寂しいと感じているからです。この半年間を通じて、田辺の魅力は「人」だということを自信をもって言えるようになりました。

<講評・コメント>

真砂市長
今日の修了式で一番元気をもらったのは自分ではないかと思っています。本当に感動しています。
これまで、地域課題をビジネスで解決するということを目指して取り組んできましたが、地域課題を解決する手法が12通り。修了生を含めると82通りあるということです。これがつながり、実現できれば地域は必ず元気になっていくと信じています。
また、高校生のビジネスプランは、本当に素晴らしい発表でした。高校生の皆さんには未来塾に興味を持っていただき、コラボができればと思っています。

甲斐副学長
開講式のときの皆さんと今の皆さんでは全然違います。見事に化学反応が起きています。
田辺だけでなく姉妹塾を含めるとビジョンを共有している仲間が200名を超えており、今後も増えていく予定です。このネットワークをうまく活用して皆さんの活動を広げてください。
また、神島高校のプレゼン、お見事でした。
昨今では、高大連携(高校と大学)の重要性が盛んに叫ばれていますが、この塾と高校の連携はまさにそれに直結します。カッコいい大人とつながることができれば将来帰ってきたいという思いにつながるのではないでしょうか。

田中近畿財務局和歌山財務事務所長
塾生の皆さん、関係者の皆さんの熱い思いがたなべ未来創造塾を全国に広げていったのだと思っています。演習の際に何度か参加し、既にしっかりとしたプランに仕上がっている印象でしたが、今回のプレゼンを聞いて、この短い期間に何があったのかというくらいにさらにブラッシュアップされたプレゼンになっていました。
実現性も非常に高いと思うので、是非、夢をかなえていただきたいと思います。私どもも引き続きサポートしてまいります。
また、神島高校の皆さんのプレゼンにつきましては、生き方や働き甲斐をおさえたすばらしいものでした。

武藤日本政策金融公庫田辺支店長
演習に入った段階から、既にレベルが高いと思っていましたが、今日のプレゼンを聞いて驚きました。今日の皆さんは、自信に満ち溢れていました。実行に向けては、まだまだブラッシュアップしていく必要があろうかと思いますが、プランを考える際に掘り下げた自社の強みは、すぐに経営に生かしていけると思います。
昨期には、公庫から塾生として送り出し、修了生をサポートする事業「未来塾NEXT」を発表し、各種関係機関と連携しながらワンストップで支援していく取組を進めていますので、是非、お気軽にお越しください。

<その他のコメント等>

  • CSV(共通価値の創造)の観点がしっかり盛り込まれているとともに、田辺愛がすごいと感じました。
  • 田辺に赴任して以降、度々面白い事業をやっている地域事業者を訪ねていますが、その大半が未来塾の修了生でした。
  • 半年間、大変苦労されたことがわかる皆さんのプレゼンでした。是非、実現していただきたいと思います。
  • 皆さんのプレゼンを聞いて勉強になりました。その中で感じた今の時代のビジネスのキーワードは、「ネットワーク」ともう一つは「ファン」。皆さんのビジョンやミッションはしっかりしています。次はどうマネタイズしていくか。まずはお金を借りてみてください。数字がはっきり見えてくると思います。
  • 今日の皆さん、本当にかっこよかった。是非、プランを実現してください。
  • プランを実行する際にOBが相談に乗れる場を創りたいという思いから「Hatch!」という支援チームを作ることとなりました。「Hatch!」とは、孵化させる、温める、計画を立てて走らせる、といった意味。私たちも一緒に走っていきたいと思っています。

■真砂市長

SDGsは、環境に特化しているものではなく、地域の皆さんがそこに住み続けられるかどうかです。社会、経済、環境が一体となった持続可能なまちづくりを今後も進めるため、世界遺産登録20周年や合併20周年など周年事業が続くこともあり、田辺市をさらに一歩進められるような施策を講じていきたいと思っています。

■甲斐副学長

人口減少の歯止め、Uターンの促進には高校生をいかに巻き込むかが重要です。高校生や親御さんとこの塾が連携することで帰ってきたいという意識へとつながるのではないでしょうか。
姉妹塾を見ていて、自治体職員の意識改革も明確に進んでいます。地域事業者と自治体職員の距離が近くなることの効果は絶大だと感じています。

また、大学の広報誌で塾の取組を特集しましたが、この記事は文科省などにもご覧いただいています。今後は、こうした取組を全国に広めていくことが重要だと思っています。